うえやまとち先生の代表作である「クッキングパパ」。昭和60年(1985年)の連載開始
から15年、平成13年1月現在でコミックス63巻を数えるこの作品も、当初は少し違った
形で掲載されていた。ここでは、「クッキングパパ」の系譜と題して、その変遷を振り返っ
てみた。(2001.3)


  最初は「COOKINGボス」
 掲載誌は『ヤングチャンピオン』。昭和57年9月5日発行の「週間少年チャンピオン9
月5日増刊号」から連載が始まっている。”強力ゲストが放つ異色作!!” ”おいしさ満点
の面白さに思わずゴクッ!!” のコピー。22ページ。主人公は荒岩、ただし中学生である。
 荒岩は毎日弁当を2個作ってくる。一つは隣の家の虹子さん用(彼女との設定)。
筑紫河中学番長、荒岩美智、母と中一の妹”美香”との三人暮らし。料理はすべて荒岩
が作る。今日の夕食は手打ちうどん。作り方付きである。「冷水でさっと洗い水を切る。
できあがり!(夏はこのままザルうどん。グーだぞ!)連載開始時の「クッキングパパ」と
同じノリである。荒岩の顔も、濃い眉毛に鋭い目、と変わっていない。
「黙々と料理に専念する荒岩君。味に厳しい母を納得させる料理を作る事を胸に秘め
て、がんばる毎日!!」 (第1話)
 『ヤングチャンピオン』6号(昭和57年10月5日発行、「週間少年チャンピオン10月
5日増刊号」)に第2話を掲載。
美味しさ飛びだす異色作 !! 男の料理にはロマンがいっぱい !!
 『ヤングチャンピオン』7号(昭和57年11月5日発行、「週間少年チャンピオン11月
5日増刊号」)に第3話を掲載。
面白さを料理 !! 男の料理はロマンだぜ !!
 『ヤングチャンピオン』8号(昭和57年12月5日発行、「週間少年チャンピオン12月
5日増刊号」)に第4話を掲載。
美味しさいっぱいの超人気純情ロマン !! 大人気のクッキング・コメディー !!
 『ヤングチャンピオン』9号(昭和58年2月10日発行、「週間少年チャンピオン2月
10日増刊号」)に第5話を掲載。
好漢・荒岩美智の鮮やかな包丁裁きに絶賛の嵐 !! 男のロマンは魔法のスパイス !!
 第6話以降については未確認。


  「クッキング・パパ」でコミックオープン秀作に
『COMICモーニング』誌上で行われた1984年後期のコミックオープンで秀作に入賞。
昭和60年(1985年)2月21日号のコミックモーニングに掲載された。
この作品は、現在の「クッキングパパ」とは「パパ」の設定が大きく異なっている。画家と
の設定であり自由人といった風体である。顔も荒岩ではない。(丸顔にヒゲをたくわえ、
髪を後ろで束ねている)。名字も「荒岩」ではなく「土田」である。
まこと、奥さんの設定は変わっていない。
「父と子の暖かい対話を、ほのぼのとしたムードの中に、みずみずしく描いたファミリー
漫画」であり、作品の中で、料理はそれほど大きな位置づけとはなっていない。


  「クッキングパパ」、コミックモーニングで連載
『COMICモーニング』昭和60年(1985年)6月6日号に、2号連続マグナム読み切りと
して「クッキングパパ」が掲載された。サブタイトルは「COOK1.イタリアン鍋料理は手軽
でボリューム満点」。これが現在の「クッキングパパ」の第一話である。
主人公が「クッキングボス」の荒岩(名前は一味)になって、仕事は金丸産業の営業主
任となった。会社と家庭との落差が生まれ、「クッキングパパ」の存在も際だってきた。
また、料理もアイデアが豊かになり、その豪快さが、本当に一度作ってみたいと思わせ
るようになった。
ここから、現在の「クッキングパパ」が始まったのである。